グローバルマーケットトレンド(2010/8/23-8/27):大手書店Barnes&Nobleの売上増は電子書籍が貢献

2010.08.30

先週のグローバルの株式市場では、27日に米国株が大幅反発しS&P500指数は前週末比-0.7%となった。

24日、米国の大手書店のBarnes&Noble Inc.が2010年5‐7月期の決算を発表した。四半期売上高は約14億ドルであり前年同期比では+21%となった。リアル書店での売上は前年同期比で2%減少したが、オンラインショップ事業(Barnes & Noble.com)が好調だったことから会社全体では増収となった。同社の説明によるとe-bookリーダーであるnookを所有している消費者の売上が20%増加し、またオンラインショップ事業の新規顧客の25%がnook所有者となっていることから、独自の電子書籍端末を開発し販売したことが徐々に奏功しはじめたのかもしれない。
決算発表の翌日、同社の株価は4.3%上昇した。

中国のB2B電子商取引サイト大手のAlibaba.comが米国Auctiva社の買収を発表した。Auctiva社は米国ネットオークション最大手のe-bayに対して出品ツールを開発提供している会社である。Alibaba.comは6月にもVendio Services Incという米国のECサイト運営会社を買収していたことから、今回の買収はAlibaba.comが米国におけるEC事業の拡大をさらに推し進める動きと見られている。
子会社であるTaoBao社とSEホールディングス・アンド・インキュベーションとの事業提携も含めて、Alibaba.comのグローバルM&Aにおけるプレゼンスが高まりつつあるようだ。

国内マーケットトレンド(2010/8/23-8/27):ドコモのアップル流配信に恩恵を受けたアプリ関連株

2010.08.30

先週の国内株式市場は、25日に日経平均株価終値が1年4カ月ぶりに8900円割れとなるなど軟調に推移した。週後半にかけて反発する動きは見られたものの、27日の日経平均株価は前週末比-2.1%の8991円6銭となった。

市場全体が低迷する中、国内MEC業界では携帯電話向けアプリに関連する銘柄のストップ高が相次いだ。
19日付の日本経済新聞で、エヌ・ティ・ティ・ドコモ(9437)がiモードの使える従来型の携帯電話向けに、スマートフォン並みのアプリを提供する新サービスを今秋より開始すると伝わり、アプリ関連銘柄の物色につながった。
また24日にNECビッグローブがAndroid用アプリのポータルサイト「andronavi」を開設し、Android携帯用のアプリ配信を本格展開すると発表したことも追い風となった。
これまでにドコモのAndroid端末向けアプリの開発実績のあるテックファーム(3625)やインフォテリア(3853)がそれぞれ前週末比+22.0%、+28.6%となったほか、アクセルマーク(3624)やジー・モード(2333)も同+37.7%、+36.7%と大幅高となった。

SEホールディングス・アンド・インキュベーション(9478)は子会社のSEモバイル・アンド・オンラインが、中国のTaoBao社と共同で中国でのEC展開についてトータルサポートを開始したと公表したことを材料に、株価が一時急騰し前週末比+10.4%となった。
TaoBao社は中国の巨大なITベンチャー企業であるAlibaba.comグループにより設立された会社であり、現在中国のEC市場において最大の事業者である。
日本のEC最大手である楽天(4755)と中国のNo.1の検索エンジンであるBaidu(百度)の事業提携をはじめ、日本企業による中国EC市場への進出が増加しており、今後の動向が注目される。

ソースネクスト(4344)は、Baiduとの業務提携に関する基本合意を発表したことが材料となり大幅に株価が上昇し、前週末比+31.0%となった。

電子書籍のパピレス(3641)は、コスモ証券が今期計画の上振れを見込むポジティブなレポートを発表したことが好感され、前週末比+38.4%となった。
携帯向け有料コンテンツの売上が伸長し、このところ堅調に推移していたメディア工房(3815)の株価は、25日に発表された7月の月次売上高の前年同月に対する増加率が鈍化したことが嫌気され、前週末比-12.0%となった。

WOWOW(4839)の株価が急落した。直近では同社に関して特にネガティブな材料ははく、むしろ円高の進行によって恩恵を受ける可能性があるにも関わらず、前週末比-17.9%となった。先週1週間の同社の出来高の平均は169株であり、前週末までの3カ月平均出来高の5倍以上の水準となっている。出来高を伴う売り圧力だけに今後の動向に注目していきたい。

グローバルマーケットトレンド(2010/8/16-8/20):グローバルもゲーム銘柄が好調、但し牽引したのは中国のオンラインゲーム会社

2010.08.23

先週のグローバルの株式市場では、引き続き米国景気の先行き不透明感から売り優勢となり、S&P500指数は前週末比-0.7%となった。

グローバルMEC企業のほとんどがS&P500指数をアンダーパフォームする中、ゲーム関連の株価が堅調に推移した。

最も株価が上昇したのは、中国で163.comというポータルサイトを運営するNETEASE COM Inc.で1週間の上昇率は12.3%だった。同社はポータルサイトで様々なコンテンツサービスを提供しているが、収益の8割以上をオンラインゲーム事業から生み出している。18日に発表された同社の2010年第2四半期決算では、主力のオンラインゲーム事業の売上高が前年同期比で51%増加し、また営業利益も同17.7%増加の好決算となったことが市場から評価された。中国最大手のオンラインゲーム会社Shanda Interactive Entertainment の売上高が2010年第1四半期で減少に転じていたことを考えると、同社の今回の決算は中国におけるオンラインゲーム市場の潜在的な成長余力をうかがうことができるかもしれない。

インド携帯電話各社の7月における加入者純増数が出そろいはじめた。政府系で最大手のBharti Airtelが260万人の純増となったほか、外資系大手のVodafoneの240万人純増、Idea Cellularの186万人純増などが続く。発表済みの会社だけを合計しても1152万人の純増であり、インドでの携帯電話市場の成長は続いている。
市場は成長しているも関わらず、インド携帯電話の上場企業の株価はこの1年間、インドの代表的な株価指数SENSEXをアンダーパフォームしている。
背景にあるのは利用料金値下げの過当な競争により各社の売上高が伸びていないことである。例えばBharti Airtelの2010年6月末の加入者数は1億3600万人で前年同月末から33%も増加しているにも関わらず、2010年4-6月四半期の売上高は前年同期比の+17%と増加率は加入者数の半分の水準である。
6月末時点で、インドの携帯電話事業者は15社も存在するため、シェアを維持・獲得したい各社は今後も低い通話料金体系を展開していくことが想定される。
このような中、財閥系でインド第2位のReliance Communications Ltd.が20日、ノキアとの事業提携を発表した。ノキアのOvi Life Toolというサービスで、Relianceの加入者は携帯電話で農作物の価格情報や教育、健康、ゲーム、音楽といったコンテンツにアクセスすることができるという。また、Relianceは同日、元Googleの携帯事業部門のヘッドだった人物を同社の新世代付加価値サービスを提供する事業部門のヘッドとしてスカウトしたと報じられている。音声サービスの料金を上げられない現状を打破するために、コンテンツ配信など新しい収益モデルを模索するためのいち早い動きとして注目される。

国内マーケットトレンド(2010/8/16-8/20):ゲーム関連銘柄が堅調

2010.08.23

先週の国内株式市場は、日経平均株価が一時年初来安値を更新するなど引き続き軟調に推移し、20日の日経平均株価は前週末比-0.8%の9179円38銭となった。

国内MEC業界ではゲーム関連銘柄及びネット・モバイル広告関連銘柄が日経平均をアウトパフォームした。

カプコン(9697)は、欧米において交流サイト(SNS)を通じたソーシャルゲーム事業に参入すると報じられたことが手掛かり材料となり、株価は前週末比+2.0%となった。5億人以上の会員数を持つ米Facebookを活用し、米アップルのiPhone向けに9月からゲームの配信を始めると伝わっている。
また、任天堂(7974)のニンテンドー3DS向けソフトウェアへの期待感などから、スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)やコナミ(9766)もそれぞれ前週末比+1.9%、+4.8%となった。
パッケージゲームが好調だった一方、ケイブ(3760)、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)、アエリア(3758)などオンラインゲーム関連銘柄は特にネガティブな材料もなかったが全般的に軟調に推移した。

ネット・モバイル広告関連では、サイバーエージェント(4751)、オプト(2389)などの時価総額の大きい銘柄の株価が堅調に推移した。特にサイバーエージェントは同社のコミュニティサービス「アメーバピグ」内で、カジノゲームの提供を開始したことから、株価は前週末比+8.3%となった。このカジノゲームは同社の釣りゲームに続く大型ゲームであり、ユーザーのアイテム課金が期待されている。グリー(3632)やディー・エヌ・エー(2432)の業績が好調ということもあり、市場は課金ビジネスに対して敏感に反応するようだ。

フォーサイド・ドット・コム(2330)は、18日ポルトガル最大手キャリアであるTMN社との事業提携を発表した。この事業提携を通じてスマートフォンやe-booksリーダーに向けたe-books配信を行う予定。また19日には米国出版社The Wild Rose Pressから1,200タイトルの書籍を全世界で配信する権利許諾を獲得したとの公表を行った。19日の株価は前日比+12.8%と急騰した。

ラウンドワン(4680)は、米国(カリフォルニア州)に進出する計画への期待感から買われ、株価は前週末比+7.7%となった。同社の株価は公募増資以降の低迷で16日には年初来安値を更新していたが、今回のポジティブなニュースを受けて出来高を伴って大きく反発した。20日の出来高1446万株は発行済株式数の約15%に相当し、市場からの注目は非常に高かったと考えられる。
尚、同社の今期予想株価収益率(PER)は、年初来安値となった16日時点では14.7倍であったが、20日には16.7倍まで回復している。

グローバルマーケットトレンド(2010/8/9-8/13):Netflixのネット配信ビジネスが市場から評価されるのはなぜか

2010.08.16

先週のグローバルの株式市場では、米国景気の先行き不透明感から売り優勢となり、S&P500指数は4日続落し前週末比-3.8%となった。

グローバルMEC企業も軒並み株価を下げる中、Netflix Inc.の好パフォーマンスが継続している。先週1週間で同社の株価は11.8%上昇し、一時年初来高値を更新した。
10日、Netflix Inc.はViacom Inc.の傘下で有料テレビ事業を行うEPIX社との事業提携を発表した。この事業提携によって、Netflix Inc.はEPIX社の持つ映像コンテンツをネット配信できるようになる。EPIX社から提供されるコンテンツは、Paramount、Lions Gate、MGMのカタログタイトルだけでなく、新作についてもEPIX社が最初に放送を行ってから90日経過したタイトルが含まれるという。
今後5年間、Netflix Inc.がEPIX社に支払うライセンス料は合計900百万ドル。この900百万ドルが赤字のEPIX社及びその親会社Viacom Inc.にとってはプラスの材料であることは間違いない。発表のなされた10日、Viacom Inc.の株価はS&P500指数が前日比0.6%下落する中、同0.9%上昇した。
一方、Netflix Inc.にとって900百万ドルは2009年の営業利益187百万ドルの約4.8倍に相当し、売上高の成長がなければ今後5年間営業赤字となってしまう水準である。それにもかかわらず、10日のNetflix Inc.の株価は前日比+6.9%となり、市場はNetflix Inc.によるコンテンツ獲得の動きに好意的な反応を示した。
900百万ドルがNetflix Inc.にとって経済合理性があったかどうかは、同社の業績を見てみるまでは判断できないが、加入者が追加で支払う金額の設定や今後期待される新規加入者数を考慮すると、この金額は妥当であると考えられる。また、本提携を機に米国のケーブルテレビとネット配信業者の今後の勢力図が変わるかもしれない。

メディア・コングロマリット最大手のWalt Disney Co.の第2四半期決算が10日に発表され、売上高と純利益がともに市場予想を上回った。広告収入などの拡大によりケーブルテレビや放送のメディア・ネットワークス部門が好調だった。同じく広告収入が好調だった先々週のNews Corp.の決算内容を勘案すると、米国における広告市場の回復はより確かなものとなっているようだ。